スウェーデンのカロリンスカ研究所は2021年のノーベル・医学賞をアメリカの教授に授与すると発表した。
この2人の研究成果は、傷が治っても痛みが続く慢性疼痛など様々な疾患の治療法開発に活用されている。
唐辛子の辛み成分であるカプサイシンに反応する受容体は辛みだけでなく痛みや温度にも反応することが明らかになった。
体に痛みを感じる43度以上で活性化する。
鎮痛剤などへの応用が期待されて世界の製薬会社が開発を試みているが、まだ実用化には至ってないそうだ。
さて、人の細胞は43度以上になると死滅することがわかっている。
昔の体温計は41度までだったのは、そのためである。
それを応用したのが温熱療法である。
温熱療法の歴史は古く、熱によって“がん”が消滅したと、医学の父であるヒポクラテス(古代ギリシア,紀元前460-370年)は報告しています。
ドイツのブッシュは丹毒に冒され高熱を発した患者さんの“がん”が消失したことを1866年に報告しています。
丹毒は皮膚の浅いところで起こる細菌感染症のことです。
1900年頃アメリカのコーリーは、感染すると高熱を出す数種類の細菌をわざとがん患者さんに注射して、高熱によって手遅れの“がん”の治療を行ったと報告しています。
1960年代になって科学技術が進歩すると、有効な加温の方法が開発されるとともに、“がん”に対する温熱の効果が明らかにされてきている。