今から30年以上前、私は既に開業していましたが、より良い医術を求めて東へ西へと様々な治療術を漁っていました。
そのうちの一つが、アメリカ発祥の治療術であるカイロプラクティックです。
ギリシャ語でカイロとは手、プラクティックとは技術。
日本にあん摩や指圧があるように、アメリカ発祥の手技治療法です。
講師はパーマー大学を卒業している塩川満章先生である。
わずか10人位しか受講者はいなかったが、その中で一人だけ中年の女性がいた。
その女性は久留島悦子先生である。聞くと私と同じ専門学校の出身であり、大阪上本町のビルの一室で開業しているとのことだった。
ご主人も時々来ていたが久留島悦子先生の比べて大変物静かな方だった。
久留島悦子先生は元々体が弱かったそうで、その為に精神世界にも救いを求められキリスト教を信仰されていました。
更に、東城百合子先生について食養生を実践されていたのです。
ご自分のシャロン健康センターで、宮原一夫先生が編み出した新日本延命術と頭蓋骨矯正などのカイロプラクティック、そして食養上の指導と大変お忙しい中、カイロプラクティックも受講されている先生でした。
カイロプラクティックはともかくとして、では新日本延命学とはいかなる手技治療でしょうか?
私は久留島先生は延命学で命拾いしたと聞いておりました。
一言でいえば仙腸関節の歪みをただして、内臓の癒着や胃下垂を治して内臓を正常な形にもどして、働きを良くすることが目的です。
この新日本延命学の創始者の宮原一夫先生は熊本県のご出身です。
野原にいると動物や小鳥が自然に寄ってきて野鳥が肩に止まったりするというような不思議な人だったそうです。
太平洋戦争当時は衛生兵でした。
大勢の兵士を診ている時に、筋から病気が発生しているという原理をつかんだそうです。
毎日体を使い続けていると疲労がたまります。
スジが硬くなりスジに球ができて萎縮します。
筋を包んでいる筋膜が撚れて捻れます。
冷えると筋が短くなり内臓を引っ張るので下垂します。
特に胃下垂と胃の冷えが病気の元になります。
このような原理を発見されました。
最近筋膜リリースなどの施術法は、宮原一夫先生の新日本延命学の一部だと言っても過言ではないと思います。
久留島悦子先生は宮原一夫先生の直弟子の一人でした。
世界中に広がったアメリカのカイロプラクティックに比べれば、新日本延命学は消えんとしています。
しかし、その効果は劇的なものであり、何とかして後世に伝えねばならないと思っています。